「ネットワーク外部性」とは?用語の意味や実際の事例を解説


ネットワーク外部性とは、ある商品やサービスの利用者が増えることで、その価値が上がる現象のことを指します

※「ネットワーク効果」と呼ばれる場合もありますが、基本的に同じ概念を指します。

SNSや決済アプリなどでよく見られるこのメカニズムは、現代のデジタルビジネスの成長において重要な役割を果たしています。

ネットワーク外部性は「正の外部性」とも呼ばれ、ユーザーが増加することで、個々のユーザーにとっての利便性や満足度が高まる現象を引き起こします。例えば、LINEやFacebookのようなメッセージアプリでは、利用者が増えるほど友人とつながる機会が増え、結果的にそのサービスの価値が高まります。


ネットワーク外部性の「直接効果」と「間接効果」

ネットワーク外部性には大きく分けて「直接効果」と「間接効果」の2つのタイプがあります。これらは、ネットワーク外部性がどのようにビジネスに影響を与えるかを理解するための重要な概念です。

直接効果

直接効果は、他のユーザーが存在することで、そのままサービスの価値が高まることを指します。具体的な例として、LINEのようなコミュニケーションアプリやFacebook、TwitterなどのSNSが挙げられます。

利用者が多いほど、そのサービスを通じて多くの人とつながることができ、結果的にユーザー一人あたりの価値が上昇します。たとえば、もしあなたの周りの友人が皆LINEを使っているなら、連絡や情報共有が非常に簡単になるため、サービスの価値が向上するということです。

参考:Shapiro, C., & Varian, H. R. (1999). Information Rules: A Strategic Guide to the Network Economy. Harvard Business School Press.

間接効果

一方、間接効果は、あるサービスの利用者数が増えることで、そのサービスに関連する補完的な製品やサービスの品質や価値が高まる現象です。たとえば、ゲーム機の市場では、ハードウェアの普及が進むと、ソフトウェア開発者が増え、結果としてゲームの種類や品質が向上します。

プレイステーションやNintendo Switchの成功は、この間接効果に依存している部分が大きいです。最初にユーザー数を増やすことで、より多くのゲームソフトが提供され、ハードウェア自体の価値も向上します。

参考:Katz, M. L., & Shapiro, C. (1985). Network Externalities, Competition, and Compatibility. American Economic Review, 75(3), 424-440.


ネットワーク外部性が働いている事例

ここではネットワーク外部性が特に強く働いている業界や具体例を挙げ、実際のビジネスの中でどのように価値が形成されているのかを見ていきます。

PayPay

ネットワーク外部性は、決済プラットフォームのような分野でも強力に働きます。ここでは、PayPayの事例を紹介し、彼らがどのようにネットワーク外部性を活用して市場を拡大したかを説明します。

PayPayは、日本におけるQRコード決済市場でネットワーク外部性を巧みに活用しました。利用者が増えると、加盟店も増加し、利用機会が増えることでさらに新しいユーザーを引き寄せるという正のスパイラルを作り出しました。

PayPayの戦略

  • 大規模なキャッシュバックキャンペーン:初期段階で行ったキャッシュバックキャンペーンは、多くのユーザーを一気に取り込むことに成功しました。このキャンペーンにより、ユーザー数が増え、加盟店の拡大につながりました。
  • 柔軟な加盟店拡大戦略:中小規模の店舗も導入しやすいシステムを提供し、多様な業界に広がることで、加盟店とユーザーの相乗効果を最大化しました。

このようにして、PayPayはQRコード決済市場で短期間に大きなシェアを獲得しました。

参考:PayPay副社長が語る!PayPay誕生秘話とこれからの成長戦略

Amazon

Amazonは、マーケットプレイスでネットワーク外部性の間接効果を活用し、大規模なeコマースエコシステムを構築しました。

Amazonの戦略

  • マーケットプレイスの導入:Amazonは自社での商品販売に加え、第三者の販売者が商品を出品できる仕組みを提供しました。これにより、利用者は多様な商品にアクセスできるようになり、Amazonの価値が大幅に増しました。
  • Primeサービスの強化:Prime会員サービスでは、配送やコンテンツストリーミングの付加価値を提供し、これがAmazon全体のエコシステムを強化しました。会員数が増えるほど、付随するサービスも充実し、Amazon全体の価値が向上しています。

このように、Amazonは間接的にサービスの利用価値を高めることで、ユーザーと出品者の相互強化を実現し、ネットワーク外部性を最大限に活用しています。

その他の事例

以上の事例に加え、当サイトにはネットワーク外部性を活かした事例をまとめた記事があります。実際のケースを交えてより深く理解したい方はこちらも参照してください。


まとめ

ネットワーク外部性は、現代のデジタルビジネスにおいて欠かせない概念です。直接効果や間接効果を通じて、サービスやプラットフォームの価値がユーザーの数に依存し、成長のエンジンとなります。FacebookやAmazon、PayPayといった事例を通じて、ネットワーク外部性の影響を理解し、ビジネス戦略の中でいかにそれを活用するかが重要です。

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